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不育症と着床障害について

不育症と着床障害のポイント解説

不育症・着床障害のブログにて連載中の内容を中心に転載しました。

想像妊娠を知っていますか?

想像妊娠とは、
妊娠への過度のストレスにより、
生理が止まったり、
胸が張ったり、
つわり様症状が現れたりしますが、
妊娠はしていないことを言います。

過度の妊娠ストレスによる
身体の一連の変化のことであり、

想像妊娠は
心身症のひとつと考えられます。


不育症・着床障害の
隠れた原因としても、
この心身症が考えられるのです。


過去の辛い妊活歴、妊娠歴
により、
社会的・肉体的ストレスや、
心理的ストレスが蓄積し、

慢性的に交感神経が活発となり、

子宮内の末梢血管(らせん動脈)

収縮傾向になってしまうからです。


従来のホルモン治療や、
血液サラサラ治療、
サプリ治療、抗生物質治療等でも
不成功の方は、
特に要注意です。



ブログNo.152
「想像妊娠とプロラクチン」と、
ブログNo.658
「潜在性高プロラクチン血症」
も参考にしてください。

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知ってほしい不育症

「不育症戦記(作/楠 桂)」(2010年3月19日発売)に寄稿した内容を現在の情報に改編しました。
不育症で悩んでいる人、不育症に関心のある人、また、流産を経験された人、これから妊娠されようとしている人に、読んでいただきたいと思います。

きちんと知りたい不育症

赤ちゃんを授かったにもかかわらず、流産や死産で失ってしまうのは悲しくつらいもの。
それを繰り返す「不育症」については、まだまだ知られていないのが現状です。
不育症の原因、その検査法や治療法、ストレスとの関係について、2018年までの知見をもとにお話しします。
流産、化学流産を繰り返し、先が見えない今、まずは読んでみてください。

ホルモン治療
プロラクチンについては下垂体前葉負荷試験により、わずかな高値であっても薬物治療をします。また、甲状腺ホルモンについては、検査会社や、採血時期により変化しますので、慎重に判断して、過剰に薬物治療します。治療中は検査をこまめにして、薬物量を変化させます。特に妊娠したら即、再検査します。


抗リン脂質抗体と凝固因子異常の治療
低用量アスピリン療法
 胎盤内に血栓ができると、血流が滞って胎児への栄養がスムーズに流れなくなってしまいます。その血栓を防ぐための治療で、低用量アスピリンを服用します。薬剤名はバファリン81mg、バイアスピリン100mgなどで、1日半錠(または1錠)が目安。妊娠前の高温期から服用を始め、まずは、妊娠16週(または妊娠28週)まで服用します。状況により、さらに長く服用を続ける場合もあります。

ヘパリン療法
 血栓を防ぐ作用があるヘパリンを用いる療法。低用量アスピリン療法と併用することで、高い治療効果が得られています。妊娠反応が出てすぐから、12時間ごとにヘパリンの皮下注射を行います。重度の抗リン脂質抗体症候群の場合には出産直前まで投与することもありますが、現在、当院では妊娠10~12週くらいまでの投与がほとんどです。太ももや腹部に自分で注射を打つ自己注射を行っています。クリニックで練習をしてから行うのでむずかしくはありませんが、慣れないうちはアザができたりすることもあります。


ピシバニール免疫治療
 ピシバニールとは、ストレプトコックス・ピオゲネスSu株をペニシリンと熱処理後に凍結乾燥した病原性のない菌体製剤です。抗ガン剤として日本で開発された免疫系を活性化する製剤です。ガン細胞や、ときに正常細胞の代謝を抑制するような一般的な抗ガン剤とは違い、細胞に対して毒性を持たないため、副作用の心配がほとんどありません。同種免疫検査として、マクロファージコロニー刺激因子、ナチュラルキラー細胞活性、ヒトインターフェロンγ、場合によりTh1/Th2細胞比、インターロイキンー4を調べ、卵を育てるために必要な胎盤になる細胞が子宮内で育ちにくい子宮内免疫状態と判断されたときに、その状態にあった独自の方法(量と時期と回数)により、子宮内免疫状態を適正化することが期待されます。


ステロイド治療
 上記の同種免疫検査にて、強力な免疫抑制が必要と判断されたとき、子宮内のステロイド洗浄治療や、ステロイド内服治療を行います。近年、ステロイドより強力な免疫抑制効果があるタクロリムスという薬が開発され、Th1/Th2細胞比が高い患者さんに投与されています。原点は、Th1/Th2細胞比が高い不育症への夫リンパ球免疫療法の有効性を報告した2000年の論文です。
 タクロリムスは魅力的な薬ですが、副作用も強く、安易に使うべきではないと考えます。2018年7月より薬の添付文書(公文書)では、「治療上の有効性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること」と改訂されましたが、同時に(警告)として、「重篤な副作用もあるので緊急時に十分に措置できる医療施設及び本剤についての十分な知識と経験を有する医師が使用すること」と書かれています。2018年6月までは「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと(禁忌)」となっていました。
タクロリムス治療の前に、免疫抑制が必要と判断されたならば、ステロイド治療が良いと考えられます。ただし、ステロイド薬としてのプレドニン(5mg)を1日1錠服用している程度では、ほとんど免疫抑制効果がありませんので、投与量と投与方法が極めて重要です。医療者の経験と知識が必要です。


夫リンパ球免疫治療
 夫の血液中のリンパ球を分離して、それを妻に注射する治療法。免疫学的(HLA抗原)に似た夫婦が流産しやすいことから、妻に夫リンパ球を輸血することで遮断抗体をつくり、胎児を受け入れやすくするという考え方で行われてきました。1980年代から世界的に行われたこの治療法は、日本でも1000例以上実施され、約80%という高い成功率をあげました。しかし、2000年頃の有効性を疑問視する研究や、夫の血液による感染症(特にエイズ感染)の心配があり、現在は慎重に対応されています。また、抗リン脂質抗体など自己抗体がある場合には、かえって病態を悪化させることがあり注意が必要です。2004年、米国の有名なメイヨクリニックからの論文では、遮断抗体を誘導した夫リンパ球治療は無作為二重盲検試験においても有効であったと報告されています。


大量免疫グロブリン治療
 1990年代より夫リンパ球免疫治療の代わりとして世界的に行われるようになりました。大量の免疫グロブリン点滴治療(原則5日間)の薬効は、免疫の異常を和らげる効果です。病的自己抗体を抑制し、過剰な免疫的炎症を正常化する働きがあります。臨床的には原因が不明な難治性の方へ治療されていますが、大量治療でないと効果はないようですので、難点として高価(自費治療で約100万円)である点です。
次の妊娠の際、それを維持するために「妊娠前から流産を予防する」のが不育症治療の考え方です。原因をさがし出す検査は欠かせません。

危険因子(原因)を見つけ出して予防するのが治療の基本
 不育症の治療は、危険因子を見つけ出して、それを予防するという「予防医療」が基本です。これはいわば生命保険の考え方で、危険や不安が大きいほど念のための保険金を高くしよう、つまり治療を過剰にしようというもの。それにはまず、検査で危険因子を見つけ出すことが重要です。検査の多くは血液検査ですが、予防医療ということもあり、健康保険がきかない項目も多いのが現状です。


100%流産に至る因子はほとんど存在しない
 不育症につながる先天的な因子は夫婦の染色体異常と子宮奇形で、それ以外の多くは後天的、偶発的に起こるものです。現在のところ「100%流産を引き起こす因子」はほとんどありません。子宮奇形でも約60%が手術せずに出産することができます。しかし多くの場合、危険因子は一つではなく複数あわせ持つのが現状。さらに心理的ストレスも加わり、治療が複雑になっているのです。


予防医療は過剰治療。グレーゾーンなら治療を
 予防治療は原則として過剰に行います。たとえば甲状腺ホルモン。内科の観点では母体の身体的に異常がなくても、検査上、潜在性機能低下と考えられれば、胎児への栄養補給のため積極的に治療します。これが過剰治療の意味です。不育症の場合、妊娠がわかると不安と緊張が強くなりますので、妊娠前から精神の安定にとり組むことも予防治療の一つといえます。

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