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同種免疫系の検査について

胎児(卵)を異物と認識して攻撃してしまう同種免疫に関する検査についての相談を一部修正して記載しました。

免疫系の司令塔的な役割を持つヘルパーT(Th)細胞は、Th1とTh2の二種類あり、Th1細胞はインターフェロンγなど、Th2細胞はインターロイキン4などという情報伝達物質(サイトカイン)を産生しています。正常妊娠はTh2優位の現象であり、Th1の上昇は妊娠維持に不利であるという現象が明らかになってきています。この根拠に基づき、Th1/Th2比を検査して、Th1優位の患者に夫リンパ球免疫療法をすると、Th2優位へ変化して高い妊娠維持成功率が得られたという研究報告があります。

同じような特殊免疫検査として、細胞の増殖と分化を助けるCSFファミリーのなかのM-CSFを測定する検査があります。妊娠子宮の免疫細胞の約70%がNK細胞ですが、約20%がマクロファージであり、そのマクロファージがM-CSFも産生しているのです。妊娠マウスでは子宮内M-CSF濃度が約1000倍まで上昇しており、M-CSFが産生されないマウスでは出生数が非常に低いことが報告されています。ヒトにおいては、不育症の患者さんにM-CSF低値の方が存在し、その後の妊娠経過とも正の相関関係が認められています。

さらに、生体維持に非常に重要な役割を持つTGF-β1を測定する検査もあります。TGF-β1は血小板、胎盤、骨等に大量に存在し、炎症や免疫系を抑え、組織修復の線維化を促進します。難治性の不育症の患者さんの中に、このTGF-β1が異常に高い方が存在しています。年齢、流産回数の増加などにより、TGF-β1が異常高値となり、子宮内膜組織が固くなりすぎてしまった可能性が考えられるのです。また、細胞外マトリックスへの影響により、受精卵の着床現象にも深く関わっています。

胎児側の細胞に対して母体の免疫細胞が攻撃しないのは、遮断抗体によってブロックされているからという理論のもと、夫リンパ球免疫療法が開発されました。

その遮断抗体の有無を調べる一つの方法が夫婦間リンパ球混合培養検査なのです。

検査内容は、夫と妻のリンパ球を一緒に培養して、そこに妻の血清を加えることにより、夫と妻のリンパ球同士の反応が妻の血清添加により抑制されるのか、つまり抑制する遮断抗体があるのかどうかを検査するのです。

遮断抗体がないと判断されたときに、治療効果が期待されるのです。

ただ、この検査は、夫リンパ球免疫療法の効果判定には有用ですが、原因と言えるかどうかはまだ不明のままです。

免疫系が過剰に反応してしまうとアレルギーになってしまいます。卵や赤ちゃんも半分は旦那さん由来の異物ですから、子宮の内膜の免疫細胞が過剰に反応すれば攻撃していまいます。

アレルギー体質(花粉症や蕁麻疹、アトピー性皮膚炎等)は直接的な原因ではありませんが、間接的には影響していると考えられます。

近年、アレルギーの発症を抑え込むTレグ細胞(調節性T細胞)(ブログ357参照)の存在が明らかにされ、子宮内膜にTレグ細胞が少ないと流産することが報告されています(2013年)。

このTレグ細胞はまだ簡単には検査できませんが、攻撃するNK細胞は検査できます。NK細胞活性は、ストレスによっても変化します。ピリピリして気が張り過ぎているとNK細胞活性は高くなり、逆に気分が落ち込んでいると低くなってしまいます。

院長ブログ

357. Tレグ

院長ブログ内で紹介している論文

共同研究論文

Characterization of regulatory T cells in decidua of miscarriage cases with abnormal or normal fetal chromosomal contents. J Reprod Immunol 2013

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