免疫というと、たぶん抵抗力と考えませんか。 抵抗力と考えていいのですが、もう少し、詳しく言うと、免疫とは、自分以外の異物に対して、攻撃して排除する体の防衛システムのことです。免疫を担う免疫細胞は、白血球の仲間であり、体の骨髄で作られています。骨髄とは、すべての骨の内部の空洞にあるどろどろした液体のことです。 ここで強調したいことは、免疫とは自分以外のものに対して攻撃するのですが、自分という識別は、自分の細胞表面の標識を識別して、それ以外は自分ではないと判断するという事実です。 フランケンシュタインの場合を考えてください。中枢神経系のかたまりである頭と大きな体をくっつけたわけですが、この場合、自分とは頭か体か、わかりますか。 実は、骨髄が多くある体が自分になります。ですから、実際には、体 が 頭 を 拒 絶 して排除するのです。 ここで、妊娠した場合の、子宮のなかの赤ちゃんについて免 疫 的 に考えてみてください。 赤ちゃんは、半 分 が 自 分 であり、半 分 が 旦 那 さ ん なのです。ですから、赤ちゃんは、妊婦さんからみて、免疫的によく似ていますが、もちろん、自分ではないのです。 妊娠がうまく維持するためには、免疫的に、このあ い ま い さ が極めて大切なのです。 妊婦さんが子宮内の赤ちゃんに対して、その半分の自分の部分に、間違って反応してしまうと、自己免疫異常になります。 その一部には、自分の凝固系のたんぱく質等にも反応してしまう、いわゆる、抗 リ ン 脂 質 抗 体という自己抗体があるのです。 また、半分の旦那さんの部分に対して、強く反応してしまうと、拒絶して排除してしまいます。この反応のひとつに、ナ チ ュ ラ ル キ ラ ー 細 胞 の異常活性があるのです。