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785.免疫寛容の不良による流産・着床不成功(新知見)

免疫の働きは、異物を攻撃することです。
しかし、
胎児は半分異物ですが、
普通は攻撃されません。


その理由は、
ヒトの進化の過程で

胎児抗原(異物の標識)に対してだけは

局所的かつ特異的な
免疫の抑制機構が、
作られているからです。


現在判明しているその抑制機構とは、

胎盤の栄養芽細胞
(トロホブラスト)に特に多く発現する
特有なHLA―G抗原が(可溶性抗原もあり)
いろいろな免疫細胞の受容体に結合して、
NK細胞の細胞障害活性を阻害したり、
制御性T細胞を誘導したりして、
免疫寛容を誘導しているというものです。

 

しかし、いろいろな理由で
(たとえば、HLA-G抗原の発現が弱いとか、
免疫がHLA-G抗原に適切に反応できないとか)
免疫寛容が不十分なときには、

流産・着床不成功が連続する
可能性が高くなると考えられます。


免疫を全身的に抑制すれば治療
できるというものではありません。

最終更新日: 2022年11月07日 14:21