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同種免疫

妊娠の成立と継続に重要な働きを持つ免疫のお話です。

コロナウイルスと戦うのは、
免疫力です。

免疫力を弱める薬で、
もっとも強力な薬が
タクロリムスです。

タクロリムスは、
臓器移植後や膠原病の治療薬で、
ステロイド剤では効果不十分な場合に、
よく使われます。


コロナ禍で、
ステロイド剤ではなく、
タクロリムスを使うのは、
免疫を抑制しすぎる可能性があり、
危険ですよ。

妊娠子宮内膜には、白血球が増加しており、
その白血球の約20%がマクロファージ
という免疫細胞です。

マクロファージは、
胎児側細胞(胎盤になる細胞)の
子宮内発育にとって、
悪玉(M1?)でもあり、
善玉(M2?)でもあるようです。

また、
マクロファージ等が産生している
M-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)
は、大量ならば炎症性サイトカインを抑制し、
さらに、
胎盤になる細胞の増殖・分化を助けている
こともわかってきています。

M-CSF欠損マウスの雌では出生率が
非常に低いことも報告されています。


当院では、妊娠の「生着反応」としての
M-CSFを測定して、
「拒絶反応」としての
NK細胞活性と、
TNF-αの測定の結果を合わせて、
その結果により、
最適の免疫治療をしています。

30年ぐらい前より注目されていた物質が、
やっと高感度で簡単に測定できる
ようになりました。

当院では、早速7月より検査開始します。

それは免疫細胞が放出する
炎症性サイトカインのひとつで、
腫瘍壊死因子(TNF-α)という物質です。

1989年に、ラットの生体実験で、
TNF-αは胎盤を壊死させ流産させたことが
報告されています。(Am J Pathol)

米国では、最近、TNF-αを抑える治療が、
不育症の新しい治療法として
臨床研究され、注目されています。

胎盤になる絨毛細胞は、
胎児側の細胞ですから、
母体から見て、
夫由来の半分異物細胞ですが、

子宮の中で増殖するために、
あなたの子宮内の免疫細胞と
情報交換をしています。

絨毛細胞は特殊であり、
hCGという性ホルモンと、
コロニー刺激因子(CSF)という
細胞の分裂増殖を助ける物質を
多量に分泌しています。

絨毛細胞は、hCGの影響下で、
母体からの免疫的攻撃を免れており、
子宮内のマクロファージ免疫細胞等を
ほ ど 良 く 刺 激 し て、
さらに多量のコロニー刺激因子
(M-CSF, GM-CSF等)を
分泌させています。

コロニー刺激因子は、
まるで子宮の栄養素のような
働きをしているのです。


マクロファージは重要な免疫細胞であり、
子宮内膜の免疫細胞の約20%あります。
ナチュラル・キラー(NK)細胞が約70%、
T細胞が約10%存在している
と報告されています。


GM-CSF入りの培養液を使うと、
胚の培養成績が良い
という報告もあります。


当院では、10年前より、
M-CSFを測定しており、
その結果をもとに
治療を行っています。

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