ホルモン治療、
アスピリン、ヘパリン、オルガラン治療
抗生物質治療、
サプリ(ビタミンD、ラクトフェリン)治療、
漢方治療
ステロイド治療、タクロリムス治療、
免疫グロブリン治療
ピシバニール治療
PGT-A正常胚・移植治療
しても、
妊娠しないか、流産してしまう
難治性の不育症、着床障害の方は、
「生殖ストレスと同種免疫異常」
の 「複合的な原因」
が発生している可能性が高いです。
同種免疫異常の検査としては、
NK(ナチュラルキラー)細胞活性、
TNFα(腫瘍壊死因子)、
M-CSF(M-コロニー刺激因子)
Th1/Th2細胞比(IFNγ)等
があり、
生殖ストレスの検査としては、
当院独自の生殖精神分析
があります。
治療法としては、
支持的精神療法、精神薬物療法と、
ステロイド治療、ピシバニール治療の併用療法
になることもあります。
妊娠前(移植前)~妊娠初期の
支持的精神療法、精神薬物療法には、
特別な専門知識と、
多くの臨床経験が必要です。
遠くから受診された患者様でした。
過去に、
6回連続して、いつも
10~20mmの胎児が
子宮内死亡していました。
流産した胎児の染色体検査は
2回検査され、すべて正常でした。
アスピリン、ヘパリン、
大量免疫グロブリン治療は、
すべて複数回受けていました。
当院での精査結果では、
不安感と罪悪感が強く、
子宮内が免疫的に荒れていると
判断されたため、
支持的精神療法を基本として、
頓服で抗不安薬を投与し、
妊娠前の子宮内ステロイド洗浄
と妊娠後のステロイド内服治療、
さらに、ピシバニール免疫治療
を、主に行いました。
そして昨年、無事に
元気な赤ちゃんを出産され、
お手紙をいただいています。
難治性の場合、
特に、
こころ と 免役 を
いっしょに整えることが
本当に大切ですよ。
「 妊娠中に
インフルエンザワクチン予防接種
を受けた約5千人の妊婦さんは、
受けなかった妊婦さんに比べて、
死産率が約50%低下していた。 」
という研究報告が
オーストラリアから2016年3月にありました。
(Clin Infect Dis. 62: 1221-1227, 2016)
この結果より、
1)妊娠中のインフルエンザ予防接種の
安全性が支持されました。
2)無毒化したインフルエンザウイルス
を妊娠中に接種する(打つ)ことは、
妊娠の維持を助ける効果を持つ
ことが示唆されました。
と、結論づけられています。
この研究は大流行時の調査ではなく、
平時の調査ですので非常に重要です。
母体から見て、
胎児は半分が旦那さん由来の異物ですから、
「免疫学的な調和」 により、守られています。
何らかの原因で
「免疫学的な調和」 が乱れると、
自己抗体(抗リン脂質抗体)が発生して
胎盤内に血栓ができたり、
アレルギー的な異物反応に変化して
胎児・胎盤系を攻撃したりして、
流産・死産を引き起こしているのです。
妊娠中のインフルエンザ予防接種が、
弱っている 「免疫学的な調和」 を
補正している可能性が考えられます。
当院の 「ピシバニール免疫療法」
の理論的背景を裏づけしている論文です。
ピシバニールとは、
ストレプトコックス・ピオゲネスSu株を
ペニシリンと熱処理後に凍結乾燥した
病原性のない菌体製剤です。
自分を他人と区別するために
自分の細胞には
自分だけのしるしがあります。
それを 「同種抗原」 と言い、
親から子へと遺伝されています。
そして自分と違う細胞(組織)を
体内で見つけたら、
自分の免疫細胞は非自己細胞を
攻撃(拒絶)するのです。
しかし例外もあります。
それが妊娠なのです。
その原因は現在でもはっきりしませんが、
胎盤になる細胞が重要で、
胎盤系を通じて、
受精卵と母体は、免疫学的に
適度に交流していることがわかっており、
その交流が
妊娠維持に重要であるようです。
不育症や着床障害の
大きな原因の一つとして、
受精卵と母体の情報交換不全が
存在しているのです。
ピシバニール免疫治療は、
その情報交換不全を適正な方向へ
誘導する治療法のひとつです。