卵は半分異物(夫由来)です。免疫系は異物と、異物化した細胞(癌、感染)を受け入れません(攻撃します)が、通常、卵については、受け入れています。 その理由の全容は、まだ 「なぞ」 です。 2015年11月号の 「サイエンス」 という世界で最も権威のある 科学誌 に、「寄生虫と妊娠のびっくりする関係」 が報告されました。 寄生虫に感染していない婦人に比べて、回虫に感染している婦人は妊娠、出産率が高く、十二指腸虫に感染している婦人は妊娠、出産率が低いのです。 世界の10億人以上が何らかの寄生虫に感染していると言われています。 考えてみれば、寄生虫って、あまり悪さをせずに、多くの人間の腸内に寄生してますが、卵も子宮の中で寄生しているわけですね。 回虫と十二指腸虫に対する免疫系の対応の違いが卵を受け入れる免疫系と、卵を受け入れない免疫系の姿を教えてくれる可能性があるのです。 同様な研究として、エール大学の生殖免疫学者のギル モア教授は、「人間の身体の常在菌が妊娠維持には極めて重要である」という結果を報告しています。 当院の免疫調節療法のひとつとして使用しているピシバニールとは、ストレプトコックス・ピオゲネスSu株をペニシリンと熱処理後に凍結乾燥した病原性のない菌体製剤です。