世界中の研究機関より、1980年から2007年までの間に、人におけるストレスと流産の関係を調査した9つの主な研究報告があります。 そのうちの7つが、ストレスは流産の原因か、あるいは非常に密接な関係があると結論しています。 その中のひとつが、1995年、イギリスの精神科医のオヘアー医師らの研究報告です。 自然流産のために入院した婦人と正常分娩のために入院した婦人、それぞれ各48名を心理士により半構造化面接をしました。その結果、流産婦人は正常分娩婦人に比べて、妊娠前3ヶ月の間に、有意に多くのストレスを受けていました。(54% 対 15%) 私は、1994年からストレスによる免疫系、ホルモン系のアンバランスとそれによる流産の発症を研究してきました。 当時は名古屋市立大学に在籍していましたから、名市大の精神科と産婦人科と熊本大学精神科の共同研究を立ち上げ、1994年から2004年まで約10年間、研究を行いました。 その最終報告が2004年、スカンジナビア精神医学専門誌に報告されています。 その研究内容は、原因不明の不育症のご夫婦をそれぞれ別々に、妊娠前と妊娠初期(妊娠4~5週)の時点で、各2回、約1~2時間、半構造化面接を行いました。 その結果、抑 う つ 気 分、悲 観 的 思 考、社 会 的 支 援 へ の 不 満のいずれかを持っていた婦人は、その妊娠が、その後、有意に高頻度で流産に終わっています。 この結果より、ス ト レ ス は 流 産 の 原 因 で あ り、特に上記の3つの心理社会因子は流産の危険因子であると結論づけられたのです。