「妊娠成立、維持には免疫の適度な活性化が必要」であることは、現在、明らかにされています。 また、免疫の予備刺激(プライミング)は、免疫のプライミング効果として、よくわかってきています。 ところで、精液の中の精子以外の液体(精漿)には、夫由来の可溶性抗原が存在しており、自然の妊娠現象では、性交後、子宮内膜ヘの精漿によるプライミングが起ったその約一週間後に、卵管で受精した受精卵の子宮内膜への着床が開始しています。 注目すべきことは、「精漿による免疫的プライミングが、その後に起こる着床現象に有効性がある」という可能性が近年、マウスの実験で報告されていることです。 体外受精・胚移植では、精漿によるプライミングはありませんので、母体の免疫応答能が低下していれば、着床に障害が起こる可能性が考えられます。