「どのような場合が不育症なのか」
について、
実はややこしいところもありますよ。
現時点での日本の定義は、
不育症とは、
同じパートナー(事実婚も含む)の間で、
2回以上の流産及び死産の経験があり、
生児が得られない状態のことです。
定義的な解釈の問題点として、
出産歴(生児)があれば不育症ではないのか?
定義的な解釈の注意点として、
現時点では、
化学流産は流産の回数には含めない。
化学流産とは、医学的に
「生化学的妊娠」のことであり、
妊娠検査薬は陽性ですが、
超音波検査で胎のう(胎芽の入る袋)は
見えないまま妊娠が自然に
終結してしまう状態のことです。
ちなみに、
欧州生殖医学会(2017年)では、
化学流産も流産の回数に含めています。
1人目は無事に出産しているのに、
その後、流産を繰り返すなんて
考えてもいませんでした。
周りも理解してくれません。
近くの先生も、
「1人出産しているのだから、
偶然が続いただけですよ。」
と、検査もしてくれません。
と、このような相談がよくあります。
1人出産後の妊娠でも、
約10~15%の方が流産されています。
1人出産後に
2回連続して流産されている方は、
少なくとも 約2% あるのです。
決して稀な事ではありません。
不安であれば検査をしてください。
二人目によくある原因もありますよ。
たとえば、母乳を分泌するように働く
プロラクチンというホルモンが、
断乳したはずであっても、
まだ、少し多く出ている場合もあるのです。
そうすると、
プロラクチンというホルモンの値が
妊娠初期に高い場合、
卵巣機能にブレーキをかけ、
免疫系にも影響しますから、
流産の危険因子になるのです。
結婚して、妊娠して、何の問題もなく、
正常に出産された。
二回目(二人目)の妊娠も自然にできたが、
流産してしまった。
そのときは、たまたまと思った。
三回目の妊娠は、ちょっと恐かったけど、
大丈夫と思ってた。
でも、また流産。
正常に出産しているのに、
その後、繰り返して流産してしまった。
どうしちゃったんだろう。
育児に追われて、いそがしくしていたから、
私が赤ちゃんをダメにしてしまったのか?
周りの人は、
ひとりは自然に生まれているから
大丈夫、気にすることはないと、言っている。
気にせずに、早く次の妊娠へがんばろうと、
励ましてくれる。
自分もはやく、弟か妹を作ってあげたい。
でも、何かおかしい。
恐い。
悪いことに、
周りの人から理解されにくいため、
精神的にも、
追いつめられてしまう事がよくあるのです。
心配で、病院へ受診してみても、
「 ひとりは自然に生まれているし、
2回の流産だから、たまたまですよ。
検査の必要もなく、
自然に様子をみてください。 」
と、言われてしまうのではないでしょうか。
この状態は何?
不育症ではないのでしょうか?
こんな内容の相談を、よく受けます。
私のご返事は、
「 それは続発性(二人目の)不育症です。 」
と、お答えしています。
一人目が自然に出産されているため、
ご自身も、周りの人も、医療関係者も、
なかなか理解できないのです。
続発性(二人目の)不育症の原因として、
出産後に、
子宮内環境が赤ちゃんの育ちにくい状態
になってしまった可能性が高いのです。
まずは、検査されることをお勧めします。
一人無事に産んだ後、
何回も流産するとは だれも思ってもいません。
何か原因があると思い、受診すると、
多くの先生は、
「一人無事に産んでいるので、
偶然が重なっただけだと思いますよ。」
と、言われているようです。
決してそんなことはありません。
二人目の(続発性)不育症なのです。
出産後に、
母乳のホルモンが高いままであったり、
出産後に、
血液が固まりやすくなったり、
また、
出産後の繰り返す流産により、
子宮内が荒れてしまったり(軽い炎症)、
育児の中、ストレスが過剰になったりして、
それらが
流産の原因となってしまっている場合が
よくあるのです。
一人で悩まずに、まずは検査を受けてください。