先日、母が永眠しました。子宮という宇宙のなかの小さな赤ちゃんの死と日々向かい合っているせいか、どうしようもない、受け入れるしかない死として、母とお別れしてきました。その通夜のとき、お寺様が「 無 量 の 死 」、明日さえわからない死、運命にまかせるしかない死、についてお話されました。人間は何か大きな力により生かされているという教えです。ですから、与えられた運命を精一杯生き抜くべきだと。 私が不育症のご夫婦に、最初にお話していることと核心部分では同じでした。不育症の治療においては、赤ちゃんの運命を変えることはできないということです。一回の妊娠について、ご夫婦の染色体異常がなくても、約20%弱は、偶然の胎児の染色体異常により、換言すれば、その赤ちゃんの運命により、約1〜2ヶ月間の命の光を消してしまうのです。その運命を最初から覚悟して、それ以外の原因を治療することにより、約80%強の成功率が得られるのです。 頭の中では、十分わかっているのですが、心の深いところで、ぽっかり小さな穴があいているみたいです。大切な命を失った悲しみ、残された者の無気力感、辛い日々ですが、「 無 量 の 死 」を受け入れて、その分まで、生き抜いていくしかないと思っています。自分の人生が終わるその時まで。