遠方から、いつも二人で来院されているご夫婦は当院では、めずらしくありません。 その中のあるご夫婦のことですが、旦那さんはいつも寡黙で奥様を包み込むように支えているようでした。 妊娠初期の不安な時期の診察前の張りつめた空気、診察後のちょっとだけ安堵した表情。 いつもの診察室の風景です。 何回目かの診察のとき、胎児の心臓が止まっていました。 ご夫婦もモニターで見ていました。 時間が一瞬、止まりました。 凍りついた空気の中で、ご本人が、旦那さんに、「 ご め ん ね 」と、絞るような小声で言われたのです。 私もこころで泣けてきました。