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166.ごめんね

遠方から、
いつも二人で来院されているご夫婦は
当院では、めずらしくありません。


その中のあるご夫婦のことですが、
旦那さんはいつも寡黙で
奥様を包み込むように支えているようでした。

妊娠初期の不安な時期の
診察前の張りつめた空気、
診察後のちょっとだけ安堵した表情。

いつもの診察室の風景です。


何回目かの診察のとき、
胎児の心臓が止まっていました。

ご夫婦もモニターで見ていました。


時間が一瞬、止まりました。


凍りついた空気の中で、
ご本人が、
旦那さんに、
「 ご め ん ね 」
と、
絞るような小声で言われたのです。


私もこころで泣けてきました。

最終更新日: 2023年04月28日 10:07