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Q16.アスピリンの飲み方を教えてください。他の病院にかかっている仲間と違うので不安になりました。

不育症・着床障害の治療として使うのは、子供用のアスピリンです。今では、多くの先生が、まず予防的にアスピリンとしてのバファリン(81mg)かバイアスピリン(100mg)を処方しています。しかし、本当に理解している先生は多くはありません。

アスピリンは血栓予防のために飲むのですが、飲む量によっては、血栓を作りやすくしてしまうのです。なぜならば、アスピリンは血小板の機能を抑えますが、血管を収縮させる機能もあるからです。1983年のオリジナル論文のアスピリンの量は毎日75mgでした。その論文のなかの患者さんは、抗リン脂質抗体が強陽性であり、大量のステロイド治療も併用されていました。一般的に心筋梗塞を発症した後に飲む量が81mgか100mgなのです。健康な方の適量はその半分ぐらいなのです。ですから、多くの場合、2日に1錠を飲むのが良いのです。ただし、胚移植後の高濃度のホルモン治療中は1日1錠が良いようです。

いつから飲むかについては、妊娠の可能性がある周期の排卵日ごろからか、移植後で十分です。いつまで飲むかについては、異常の検査値によりますが、妊娠16週までか、妊娠28週までか、あるいは妊娠35週ごろまでが目安です。

抗リン脂質抗体が陰性か血栓性素因もない例では、アスピリンの治療効果はないということが信頼性の高い論文に報告されていますが、危険性も少ないと判断されていますので、予防的に飲むことは理解できます。ただ、その場合、出血があればすぐに飲むのを中止したほうが良いと思います。その場合は危険性があるからです。

詳しくは私のブログのNo29(アスピリンジレンマ)を見てください。

最終更新日: 2018年11月10日 16:20