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Q24.体外受精を受けています。ホルモン周期を作るためと聞いていますが、妊娠してからも、ハリ薬や座薬も含めた多くのホルモン剤と、いろいろなお薬をたくさん飲んでいました。まだ不成功のままですが、体外受精に使うお薬の胎児への副作用は心配ないのでしょうか?

確かに体外受精の場合、大量のホルモン剤を使っています。最近では、できるだけ減量して治療するような傾向にあると思います。

体外受精で生まれた児は自然妊娠で生まれた児に比べて、先天異常のリスクがやや上昇しているという報告は多くあります。その中でも信頼できる論文として、2012年のオーストラリアからの報告があります。約30万人の出産のうち、約6千人が体外受精で出産しており、生まれた子供の5歳の誕生日まで調査した結果、体外受精を受けずに出産した児の5.8%に先天異常が出現していたのに対して、体外受精を受けて出産した児の8.3%に先天異常が出現していました。

しかし、親の年齢や合併症や社会環境因子により統計的に修正して比較してみると、体外受精を受けても受けてなくても先天異常の発症リスクに有意差はありませんでした。

ただし、体外受精のなかでも、顕微授精(細胞質内精子注入法)では先天異常の発症リスクがやや高かったそうです。(N Engl J Med 2012; 366: 1803-1813)

結論として、現時点では、お薬による先天異常児の有意なリスクがあるとは言えないようです。親の不妊原因、年齢、合併症、社会的環境因子が偶然的な運命としての先天異常のリスクを高くしているようです。最後は、ご夫婦で納得して決めた結果を受け入れるしかないと思います。

最終更新日: 2018年11月10日 16:22